技能実習生に求められるのは何と言っても、会話・コミュニケーション能力です。ミナト・ドリーム人材育成センターでは副教材として「いろどり」を採用しています。
テストでは良い結果を残しているのに、組合の会話チェックでフリーズしてしまう。。。これは実習生あるあるです。
言葉や助詞の使い方を間違ったらどうしよう?回答で「私」の後に続くのは、「は」だろうか?「が」だろうか?完璧な回答をしようと思うがために、結局、口ごもってしまいます。
実習生は多少文法なんて間違ったっていいんです。
【いろどり】に以下の例文が載っています。
例文:ここ、名前書いて下さい」
「みんなの日本語」では、以下の文章になります。
例文:ここ(に)、日本語(を)書いて下さい。
そうなのです、教科書の例文で助詞が欠落しているのです。確かに、日本人はよく助詞を省いて話します。
私も「いろどり」で教える様になり、上記の様な教え方に変更しました。
また、生徒に“すみません」は英語でなんですか?”と質問しました。
生徒:Thank youです。
私:違います。Thank youは日本語でありがとうですよ。
生徒:いいえ。先生、日本人はプレゼントを貰った時に「すみません」と言います。
私:・・・・なるほど
いろどりは全3冊なのですが、入門編からこんな感じです。
また、日本での生活に必要なカタカナ単語が多いのも特徴です。「ドラッグストア」「ホームセンター」「シェアハウス」・・「Suica」まで出てきます。
実習生により、頭のキャパはまちまちなので、生徒の能力に応じて、単語を覚えさせています。
では、なぜ他のセンターは「いろどり」を使わないか?です。
これは単純に「先生の手間が増える」からです。
技能実習生として日本での仕事を終え、帰国したベトナム人はある程度の日本語能力があれば、直ぐに「日本語の先生」として送り出し機関で働くことが出来ます。
彼らも「みんなの日本語」で勉強したので、慣れ親しんでいます。
ただ、「いろどり」は、生徒に教える前に、まず、自分で勉強しなければなりません。
また、「いろどり」1冊目の入門編からトピックとして、「駅で精算機の使い方」や「バス・タクシーの乗り方」などがかなり詳しく紹介されています。
先生の知識がないと、生徒からの質問に答えることが出来ません。
ちなみに、当センターでもこの難易度が原因で教師が1名脱落しました。
ミナト・ドリーム人材育成センターがスタートしたのは一昨年の10月で、まだ実績も多くありません。
ただ、当センターの経営母体はミナト日本語と言うオンラインに特化した日本語教育の専門企業です。ミナト日本語は7年目に入り、生徒数ではベトナムで3本の指に入ります。
JLPTコースがメインなのですが、生徒の8割が日本で仕事をしている技能実習生やエンジニアなどです。
グレードによって多少違いますが、JLPTコースは月〜金の週5日間、毎日1時間の動画を視聴して約3時間分の宿題が出ます。
日本で働き、少ない給料の中から自腹を切って勉強しようと言う生徒達ですから、その熱意たるや尊敬してしまいます。
ミナト日本語の6年間で培った、教案や動画などは当センターの授業でも取り入れています。
FAXに書かせて頂いた「報連相に関する」以下の話は本当です。
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「実習生の〇〇さんは来日間近だから、“報連相”の復習やっておいて。。。」良く、聞く話です。
実習生は丸暗記した報連相を大声で復唱します。
・・・・・
日本の組合や企業から、「報連相」の教育を徹底する様にと指示を貰いますが、生徒は勿論、ベトナム人の先生方も「報連相の根本」を理解していないので、田舎で自由奔放に生きてきたベトナムの若者に報連相の何たるかを教えることなど無理なのです。
例えば、当センターでは、週に3回日記を書かせて、朝、当日の当番が提出します。全員分揃っているのか、書いていない生徒がいれば、どうして書いていないのか?も先生に報告します。
授業前、当番が職員室にクラス全員のスマホを預けに来ますが、『全部で〇〇台、全て飛行機モードになっています』と報告します。
また、センターのルールが変わる時などは運営側が一方的に決めるのではなく、生徒の意見も聞くようにしています。
与えられるだけでなく、自分の頭で考え、正しいと思う意見があれば生徒間で意見をまとめ、運営側に提案します。
また、400以上ある送り出し機関で空手の稽古をしているのも当センターだけでしょう。
勿論、喧嘩に強くなることが目的ではありません。
真夏で部屋が暑かろうと、中腰の姿勢が辛かろうが、手を抜かず、全力で突き蹴りをします。
空手経験者の方がいらっしゃれば、理解して頂けると思いますが、一人で突き蹴りをする際に手を抜いてしまえば、こんなに楽な事はありません。
ただ、たった30分ですが、できる限り早く!強く!突く!
センターで空手の稽古を始めて気がついたのですが、空手が上手な生徒は100%日本語能力も高いです。
「学ぶ」の語源は「真似をする」です。
日本語が上手な生徒は私の身体の動きを見事に真似ることが出来ます。
言うまでもなく、これは、私の日本語のアクセントやイントネーションを真似る事に繋がります。